交通事故（人身事故）の加害者は、交通事故を起こすことによって、民事上、刑事上、行政上の各法的責任を負うことになります。
具体的には、次のとおりです。
民事上の法的責任
民事上の責任とは、加害者の被害者に対する責任のことです。
具体的には、被害者に対して、不法行為（民法７０９条等）ないし自動車損害賠償保障法に基づいて、発生した損害を賠償する責任を負います。
行政上の法的責任
自動車やバイクの運転には、いわゆる「運転免許」という行政上の許可・国家資格が必要です。行政上の法的責任とは、運転免許点数制度上の責任のことです。
具体的には、運転免許点数制度により違反点数が加算され、免許停止または免許取消の行政処分の対象になります。
違反点数は、被害者のケガの程度（死亡事故や被害が大きいほど点数は高くなります）、交通事故の態様（どのような違反行為、注意義務によって交通事故が発生したのか）、道路交通法上の救護措置等をとったかによって、異なります。
刑事上の法的責任
刑事上の責任とは、いわゆる刑事罰の対象となることです。
交通事故の刑事責任は、主に「自動車運転処罰法」（又は「自動車運転死傷行為処罰法」、「自動車運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」の略称）に基づいて、問われることになります。
また、道路交通法にも刑事罰の定めがあります。
具体的に、加害者に刑事罰が科されるか、どのような刑事罰が科されるかは、交通事故の被害の程度、事故の態様や加害者の過去の違反歴・事故歴等によって異なります。
死亡事故や重大な被害を生じさせた事件、ひき逃げなど悪質な態様の事件については、懲役などの重い刑が科される傾向にあります。
他方、重大な違反がなく被害の程度も軽微な場合などは、罰金刑で済んだり、刑事責任が問われないこともあります。
