交通事故によっては、被害者の意識が戻らなかったり、後遺障害によって判断能力を失われてしまい、被害者本人では損害賠償を請求できないケースがあります。
このような場合、被害者のご家族が家庭裁判所に成年後見人の選任(「後見開始の審判」)を申立て、成年後見人が損害賠償を請求することになります。
損害賠償請求や示談・和解は、法律行為であり、法律行為を行うにあたっては、本人に意思能力が必要です。
そして、この意思能力を欠いていたり、不十分である方をサポートする制度として、成年後見制度があります。
この制度は、ご本人の意思能力に応じて、成年後見人、保佐人、補助人のいずれかを選任し、それらの人に、本人に代わって法律行為を行う権限や、本人が行う法律行為への同意権、本人が行った法律行為の取消権などを認め、本人の法律行為をサポートする制度です。
本人の意思能力が失われた場合、これらの内、成年後見人の選任を申し立てることになります。
〔参考条文〕
○民法7条
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。