原則として、示談が成立した後でないと、賠償金(示談金)を受け取ることはできません。
ただし、損害の項目によっては、示談成立前に賠償金(示談金)の一部が支払われることもあります。
目次
原則について
交通事故の人身損害について、示談が成立し、賠償金(示談金)が支払われるのは、ケガの治療が終了した後になります。
これは、治療費や入通院の慰謝料、通院交通費など、治療が終了してからでないと、損害額が確定しないためです。
治療に長期間を要する場合には、交通事故の発生から、賠償金(示談金)の支払われるまで1年以上経つこともあります。
示談成立前に、賠償金(示談金)の一部が支払われる例:治療費
多くの交通事故において、ケガの治療費は、示談成立前に、支払われています。
これは、治療費の一括払いと呼ばれる保険会社のサービスです。示談成立前でも、保険会社が医療機関に治療費を払ってくれるため、被害者は、病院窓口でケガの治療費を支払う必要がなくなります。
示談成立前に、賠償金(示談金)の一部が支払われる例:休業損害
ケガの治療のために入通院することで、会社や仕事を休まなければならなくなり、収入が減ることがあります(休業損害と呼ばれます)。
被害者によっては、家賃やローンなど、生活費の支払いのために、減収分を示談成立前に受け取りたいと要望される方がいます。
このような場合、示談成立に先立ち、賠償金(示談金)を支払ってもらう方法として、①任意保険会社に対して前払いを請求する方法(「内払請求」ともいいます)と②自賠責保険会社に対して一部仮渡金を請求する方法があります。
示談成立前に、賠償金(示談金)の一部が支払われる例:仮払金
被害者が生活に困窮した場合など、任意保険会社によっては、被害者の申出によって、示談成立前に賠償金(示談金)の一部を仮払いしてくれることがあります。
示談成立前に、賠償金(示談金)が一部支払われた場合の処理
示談成立前に、治療費や休業損害などの賠償金(示談金)の一部が支払われた場合、それらは、既払金として、最終的な賠償金額から控除されます。