後遺障害

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部位別(胸腹部臓器)

交通事故でケガをすると、胸や腹部の内臓器に損傷を受けることも多いです。こういった部位のことを、胸腹部臓器と言います。胸腹部臓器に後遺障害が残ると、身体を維持するための機能が働かなくなることが多いので、仕事がまったくできなくなることもありますし、日常生活にも著しい支障が発生するものです。

以下では、交通事故の胸腹部臓器の後遺障害について解説します。

 

1.胸腹部臓器の後遺障害の内容

交通事故で、胸やお腹にダメージを受けた場合、内臓を損傷してしまうことがあります。内臓は、いったん損傷を受けると完全に回復することが難しく、後遺障害が残ってしまうことが多いです。しかも、内臓は、生命維持に直結する機能を果たしているため、後遺障害が残ったときの影響は大きくなります。こうした内臓の後遺障害のことを、胸腹部臓器の後遺障害と言います。

交通事故の後遺障害等級表において、胸腹部臓器の後遺障害は、生殖器とそれ以外の臓器に分けて規定されています。

ただ、生殖器以外の臓器についても、各臓器で後遺障害の程度をはかるための尺度が異なるので、後遺障害の認定基準は、それぞれの臓器ごとに定められています。

胸腹部臓器で後遺障害が問題になる臓器は、以下の通りです。

  • 呼吸器
  • 循環器
  • 腹部臓器
  • 泌尿器
  • 生殖器

複数の臓器に異なる後遺障害が残った場合には、併合によって等級を認定しますが、介護が必要なほど重度になった場合には、介護の程度や労働への支障をも考慮して、総合的に等級が認定されます。

胸腹部臓器の後遺障害の内容と認定される等級

1級2号

(別表第1)

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

2級2号

(別表第1)

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

第3級4号

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

第5級3号

胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

7級5号

胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

7級13号

両側の睾丸を失ったもの

9級11号

胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

9級17号

生殖器に著しい障害を残すもの

11級10号

胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

13級11号

胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

 

以下では、臓器ごとの後遺障害認定基準を確認していきましょう。

2.呼吸器の障害

呼吸器の後遺障害については、以下の3種類の検査結果によって判定します。

  • 動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧の検査
  • スパイロメトリーの結果と呼吸困難の程度
  • 運動負荷試験の結果

基本的には①の検査によって判定された等級が認定されます。ただし、①で認められる等級が、②③によって認定される等級より低い場合、②③によって認定された後遺障害の等級が認定されます。

なお、動脈血酸素分圧とは、動脈血中に含まれる酸素の量のことで、動脈血炭酸ガス分圧とは、動脈血中に含まれている二酸化炭素の量のことです。

スパイロメトリーとは、呼吸機能に関する検査方法のことで、呼吸時の呼気量と吸気量をはかることによって呼吸能力を確認します。スパイロメーターという機器を用いて、肺活量等を測定します。

呼吸器の後遺障害で認められる可能性のある等級は、以下の通りです(ただし、①の検査による基準)。

  • 1級2号動脈血酸素分圧が50Torr以下で、呼吸機能の低下により、常時介護が必要になった場合 
  • 2級2号動脈血酸素分圧が50Torr以下で、呼吸機能の低下により、随時介護が必要になった場合
  • 3級4号  動脈血酸素分圧が50Torr以下で高度な呼吸機能低下が発生しているが、介護が不要な場合
  • 5級3号  動脈血酸素分圧が50Torr超60Torr以下となり、高度な呼吸機能低下が発生しているが、動脈血炭酸ガス分圧は限界値範囲内の場合
  • 7級5号動脈血酸素分圧が60Torr超70Torr以下で、動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲外の場合
  • 9級11号 動脈血酸素分圧が60Torr超70Torr以下で、動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲内の場合
  • 11級10号動脈血酸素分圧が70Torr超で、動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲外の場合

上記以外に、②スパイロメトリーの結果と呼吸困難の程度、③運動負荷試験の結果によって後遺障害の等級が認定されることもあります。

3.循環器の障害

循環器の後遺障害には、以下の4種類があります。

  • 心機能が低下したもの
  • 除細動器またはペースメーカーを植え込んだもの
  • 房室弁または大動脈弁を置き換えたもの
  • 大動脈に解離が残ったもの

3-1.心機能が低下したもの

心機能が低下した場合に認められる後遺障害の内容と等級は、以下の通りです。

  • 9級11号 心機能の低下によって、中程度の身体活動低下が起こっている場合

たとえば、平地を急いで歩いたり、通常の速度で階段を上がったりすることが難しいという程度です。

  • 第11級10号 心機能の低下によって、軽度の身体活動能力低下が起こっている場合

たとえば、平地を急いで歩いたり、通常の速度で階段を上がったりしても支障はないけれど、それ以上激しい活動をすることが困難な程度です。

3-2.除細動器やペースメーカーを植え込んだもの

  • 7級5号除細動器を植え込んだ場合
  • 9級11号ペースメーカーを植え込んだ場合

3-3.心房室弁または大動脈弁を置き換えたもの

  • 9級11号継続的な抗凝血薬療法が必要な場合
  • 11級10号上記に該当しない場合

3-4.大動脈に解離が残ったもの

  • 11級10号偽腔開存型の解離を残すもの

大動脈解離とは、大動脈の壁が二層に剥離して二つの腔ができており、大動脈に血腫などが存在する症状を言います。

4.腹部臓器の障害

腹部臓器の後遺障害は、各臓器において認められます。

4-1.食道の後遺障害

  • 9級11号食道の狭さくによる通過障害が発生した場合

4-2.胃の後遺障害

症状の内容と程度に応じて、7級5号、9級11号、11級10号、13級11号が認められます。

4-3.小腸の後遺障害

小腸を大量に切除した場合、ケースに応じて9級11号、11級10号が認定されます。

人工肛門を造設した場合、ケースに応じて5級3号、7級5号が認定されます。

小腸皮膚瘻が残った場合、ケースに応じて、5級3号 、7級5号、9級11号、第11級10号が認められます。

小腸に狭さくが残った場合、11級10号が認定されます。

4-4.大腸の後遺障害

大腸を大量に切除した場合、11級10号が認定されます。

人工肛門を造設した場合、ケースに応じて5級3号、7級5号が認定されます。

大腸の皮膚瘻が残った場合、ケースに応じて5級3号、7級5号、9級11号、11級10号が認定されます。

便秘の症状が残った場合、程度に応じて9級11号、11級10号が認定されます。

便失禁が残った場合、ケースに応じて7級5号、9級11号、11級10号が認められます。

4-5.肝臓の後遺障害

  • 9級11号 肝硬変
  • 11級10号 慢性肝炎

肝硬変、慢性肝炎は、どちらもウィルスの持続感染が確認できて、かつ、AST、ALTの値が継続的に低くなっている場合に認定されます。

4-6.胆のうの後遺障害

  • 第13級11号 胆のうを失った場合

4-7.すい臓の後遺障害

程度と内容に応じて、9級11号、11級10号、12級13号、14級9号が認定されます。

4-8.脾臓の後遺障害

  • 第13級11号 脾臓を失ったもの

4-9.腹壁瘢痕ヘルニア、腹壁ヘルニア、鼠径ヘルニア、内ヘルニア

程度に応じて、9級11号または11級10号が認定されます。

5.泌尿器の障害

泌尿器の後遺障害には、腎臓の後遺障害と尿管、暴行や尿道の後遺障害があります。

5-1.腎臓の後遺障害

腎臓を失っていないケースでは、腎機能の低下レベルによって、9級11号、11級10号、13級11号が認定されます。

片側の腎臓を失った場合、腎機能の低下レベルによって、7級5号、9級11号、11級10号、13級11号が認定されます。

5-2.尿管、膀胱及び尿道の後遺障害

尿路変向術を行った場合、障害の程度に応じて5級3号、7級5号、9級11号、11級10号が認定されます。

排尿障害が残った場合、障害の程度によって9級11号、11級10号、14級が認定されます。

蓄尿障害が残った場合、障害の程度に応じて7級5号、9級11号、11級10号が認定されます。

 

6.生殖器の障害

生殖機能の障害には、以下のものがあります。

7級5号

生殖機能を完全に喪失したもの

9級11号

生殖機能に著しい障害を残すもの

11級10号

生殖機能に障害を残すもの

13級11号

生殖機能に軽微な障害を残すもの

生殖機能の後遺障害の内容は、男女によって異なります。

「生殖機能を完全に喪失したもの」は、男性の場合、両睾丸を失った場合や、常に精液中に精子が存在しなくなった場合です。

女性の場合、両側の卵巣を失った場合や、常に卵子が形成されなくなった場合です。

 

「生殖機能に著しい障害を残すもの」とは、生殖機能は残存していても、通常の性交によって生殖できない場合です。

男性の場合、陰茎の大部分を失った場合(膣内に陰茎を挿入できない場合に限ります)や、勃起障害が残った場合、射精障害が残った場合です。

女性の場合、膣口狭さくが残り、陰茎を膣に挿入できなくなった場合や、両方の卵管に閉塞や癒着が残った場合、頸管に閉塞が残ったり子宮を失ったりした場合です。

 

「生殖機能に障害を残すもの」とは、通常の性交によって生殖をすることはできても、一定以上の障害が残ったケースです。

この要件によって11級10号が認められるのは女性のみで、狭骨盤か、それに近い状態になった場合(比較的狭骨盤)に認められます。

 

「生殖機能に軽微な障害を残すもの」とは、通常の性交によって生殖活動をすることはできても、わずかな障害が残るケースです。

男性の場合には、片側の睾丸を失った場合やそれに準じる程度の萎縮が発生した場合、女性場合には片側の卵巣を失った場合に認められます。

 

以上のように、胸腹部臓器の後遺障害は、その内容が非常にさまざまです。各臓器によって細かい要件が定められているので、専門医による正しい判断が必須です。

後遺障害が残った場合には、適切に検査を受けて後遺障害認定の手続きを進め、なるべく高い等級の認定を受けられるように対応しましょう。

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