信号のある交差点に、青信号を直進して交差点に進入した単車(X)と、青信号を右折して交差点に進入した四輪車(Y)の交通事故です。
このような場合の基本的な過失割合は、
Xが15%、Yが85%です。
車両(四輪車・単車のいずれも)は、交差点で右折する場合、交差点を直進又は左折しようとする車両等があるときは、それらの進行を妨害してはいけません(道路交通法37条)。直進車が速度や方向を急に変更しない限り、右折車と接触する危険が発生するおそれがあるときは、直進車に対する進行妨害となるため、右折車は直進車の通過を待たなければなりません。
つまり、直進車が右折車に対して優先する関係にあります。そのため、四輪車(Y)には85%の過失が認められます。
他方で、単車(X)にも、通常前方不注意やハンドル・ブレーキ操作の不適切等何らかの過失が肯定されることが多いため(同法36条4項、70条)、15%の過失が認められます。
ただし、基本の過失割合は、様々な要素によって修正されることがあります。
たとえば、右折車(Y)が交差点へ徐行せずに進入した場合、単車(X)の過失は、-10%となります。
また、右折車(Y)が交差点へ進入し、進路を変える場合に当該合図を出さずに行った場合、合図が無いことにより、対向車Xが右折車(Y)が右折することを予想し、事故を回避することが困難な状況になることから、単車(X)の過失は、-10%となります。
その他、右折車(Y)の脇見運転による著しい前方不注意視、安全に走行することが出来ないようなハンドル・ブレーキの操作が不適切な場合(法70条)。
携帯電話等の、無線通話装置を通話の為に使用したり、画像を注視したりしながら運転すること(法71条5号の5。平成16年の法改正によって罰則規定が整備された。)+15Km以上の速度違反、酒気帯び運転(法65条1項、59項参照)等の著しい過失があった場合、Xの過失は、-10%となります。
さらに、これと類似の事例として、右折車(Y)による重大過失として、酒酔い運転(法117条の2第1号、59項参照)、居眠り運転、無免許運転、おおむね時速30km以上の速度違反、過労、病気及び薬物の影響その他の理由により、正常な運転が出来ないおそれがある場合、基本的な過失割合は、単車(X)の過失割合は-10%になります。
また、転回車(Y)の速度が転回するのに適切な速度でない場合には,速度制限に反していなくとも著しい過失ありといえます。
反対に、Xに著しい過失や重過失があった場合は、過失割合はXが25%、Yが75%となります。
信号機のない交差点へ直進して進入した単車(X)と右折車(Y)の交通事故です。
このような場合の基本的な過失割合は、
Xが15%、Yが85%です。
交差点で右折する車両(四輪車・単車のいずれも)は、交差点を直進又は左折しようとする車両等に劣後する関係にあります(直進車・左折車が優先。道路交通法37条)。そのため、Yに85%の過失が認められます。ただし、優先関係は直進車・左折車の注意義務を免除するものではありません。このような事故の場合、Xにも、通常何らかの過失(例えば前方不注意、ハンドルやブレーキ操作の不適切など)があることが多いため(同法36条4項、70条参照)、15%の過失が認められます。
ただし、信号のない交差点での交通事故では、交差点の形態が重要な意義を有する場合、基本的な優先関係よりも個別的事情がより重要な意義を有する場合もあるため、事案ごとの慎重な検討が必要になります。
ただし、基本の過失割合は、様々な要素によって修正されることがあります。
たとえば、右折車(Y)が右折禁止の交差点であるにも関わらず右折しようとした場合、直進単車(X)の過失は、
-10%となります。
また、直進単車(X)が15km以上の速度違反をしていた場合、Xの過失は+10%となります。
その他、事故の態様等によって修正されることがあります。