信号機のある交差点で、青信号を直進して交差点に進入した単車(X)と、赤信号を直進して交差点に進入した四輪車(Y)の交通事故です。
このような場合の基本的な過失割合は、
Xが0%、Yが100%です。
道路を通行する車両等は、信号機の表示する信号に従わなければなりません(道路交通法7条)。そのため、その表示に従わず、いわゆる信号無視をして赤信号で交差点に進入したYには、100%の過失が認められます
ただし、基本の過失割合は、様々な要素によって修正されることがあります。
例えば、単車(X)が信号に表示されている指示に従っていたとしても、
①単車(X)が前方左右に対する通常の安全確認を怠った場合、
②単車(X)が四輪車(Y)を発見した後、容易に回避行動をとることができたにも関わらずこれを怠った場合、
③信号の変わり目などで、四輪車(Y)が明らかに先に交差点に進入している場合は、単車(X)の過失割合は+5%となります。
信号のないほぼ同幅員の交差点に、左方から直進して進入した単車(X)と、右方から直進して進入した四輪車(Y)が衝突した場合の交通事故です。
このような場合の基本的な過失割合は、
Xが30%、Yが70%です。
信号のない交差点における交通事故のほとんどは、見通しの悪い交差点でおきています。したがって、上記過失割合は、信号のない見通しの悪い交差点を前提にしています。
車両は、見通しのきかない交差点へ入ろうとする場合は、交通整理が行われているとき及び優先道路を進行しているときを除き、徐行しなければなりません(道路交通法42条1号)。
いずれの道路も優先道路にあたらず、交通整理の行われていない見通しの悪い交差点に進入する単車左方車(X)と直進四輪車(Y)には、いずれも徐行義務があります。
そして、同幅員の交差点では、原則として、左方優先(同法36条1項1号)であるため、単車左方車(X)と四輪右方車(Y)が、同程度の速度で交差点に進入した場合、過失割合として、Xに30%、Yに70%が認められます。
ただし、基本の過失割合は、様々な要素によって修正されることがあります。
例えば、事故発生現場が見通しのきく交差点であった場合、単車左方車(X)の過失は-10%になります。
また、仮に、交差点の道路が同幅員ではなく、例えば、単車が明らかに広い道路を走行していた場合、単車が左方車か右方車であるかに関わらず、狭路を走行している車両には、交差道路を通行する車両等の進行を妨げてはならないという義務があるため(同法43条)、単車(X)の過失は-10%になります。