信号機のある交差点に、青信号で進入してきた自転車と、赤信号で進入してきた自動車が、出会い頭で接触した交通事故です。
このような場合の基本的な過失割合は、
自転車が0%、自動車が100%です。
道路を通行する車両は、信号機の表示に従うべき義務を負っています(道路交通法7条)。自動車だけではなく、自転車も道路交通法上の車両に該当するので、この規定に従わなければなりません。
そして、この場合、自動車は赤信号で交差点に進入しており、信号無視をしているので、過失割合は100%となります。青信号で信号を守っていた自転車の過失割合は0%です。
なお、自転車の信号が赤、自動車が青の場合には、自転車の過失割合が80%、自動車の過失割合が20%となります。
自転車が黄色、自動車が赤の場合には、自転車が10%、自動車が90%となります。
自転車が赤、自動車が黄色の場合には、自転車が60%、自動車が40%となります。
また、基本の過失割合は、さまざまな要素によって、修正されることがあります。
たとえば、自転車が著しい前方不注視をしていたり、ハンドル操作が不適切であったりすると、自転車に著しい過失が認められて、自転車の過失割合が+5%となります。自転車が酒酔い運転をしていたり、ブレーキ装置不良で運転をしていたりすると、自転車に重過失が認められて、自転車の過失割合が+10%となります。
自転車が児童や高齢者の場合には、自動車の注意義務が高まるので、自転車の過失割合が-5%となります。自転車が、自転車横断帯を通行していた場合には、自転車の過失割合が-5%となります。
自動車が酒気帯び運転や時速15キロメートル以上30キロメートル以下のスピード違反をしていた場合などには、自動車に著しい過失が認められるため、自転車が-5%となりますし、自動車が無免許運転、居眠り運転などをしていた場合には、自動車に重過失が認められるので、自転車の過失割合が-10%となります。
信号機が設置されていない交差点(交差する道路幅が同じ程度)において、自転車と自動車が直進で進入してきた際に、出会い頭で接触した交通事故です。
この場合の基本の過失割合は、
自転車が20%、自動車が80%です。
交差点を通過する車両は、交差点を通行しようとする他の車両に配慮し、その通行を妨害しないように配慮すべき義務を負っています(道路交通法36条4項)。また、左側を通行する車両が優先されます(道路交通法36条1項1号)。
自転車は、自動車と比べて車体も小さく、事故を避けにくい立場にあるので、自動車の方に基本的に高い注意義務が課されます。
そこで、右側の位置にあり、こうした義務に違反している自動車の過失割合が80%となります。
一方、自転車の方にも、交差点を通行する以上、前方を注視して安全に運転しなければならない義務(道路交通法70条)などを負っているので、接触事故を起こした点に一定の過失が認められ、過失割合が20%となります。
これと類似した事例で、一方が明らかに広い道路である場合には、この割合が変わります。
自転車が広く、自動車が狭い道路の場合には、自転車が10%、自動車が90%となりますし、自転車が狭く、自動車が広い場合には、自転車が30%、自動車が70%となります。
自動車側のみに一時停止規制がある場合、自転車が10%、自動車が90%となりますし、自転車側のみに一時停止規制がある場合、自転車が40%、自動車が60%となります。
自転車が優先道路を通行していた場合には、自転車が10%、自動車が90%となりますし、自転車が優先道路を通行していた場合には、自転車が50%、自動車が50%となります。
自動車が一方通行違反をしていた場合には、自転車が10%、自動車が90%となりますし、自転車が一方通行違反をしていた場合には、自転車が50%、自動車が50%となります。
また、基本の過失割合は、様々な要素によって修正されることがあります。
事故が起こったのが夜間の場合、自動車のライトは明るいので、自転車からの発見が容易になりますが、車対の小さな自転車は見つけにくくなるため、自転車の過失割合が+5%となります。
自転車が右側を通行していた場合、左側走行違反があるため、自転車の過失割合が+5%となります。
自転車が児童や高齢者だった場合には、自転車の過失割合が-5%となります。
自転車が自転車横断帯を進行していた場合、自転車の過失割合は-10%となりますし、自転車が横断歩道を進行していた場合には、自転車の過失割合が-5%となります。
自転車が傘差し運転をしていたなど、自転車に著しい過失があれば自転車の過失割合が+10%、自転車が酒酔い運転をしていたなど、自転車に重過失があれば、自転車の過失割合が+20%となります。