駐車場内で、駐車区画外の通路に歩行者が歩いていたり立っていたりしたところ、通路を走行してきた自動車が接触した交通事故です。
この場合、基本の過失割合は、
歩行者が10%、自動車が90%となります。
駐車場内には、車の乗り降りをした歩行者が常時移動をするので、自動車は、そのような歩行者がいないかどうか、常に注意すべき義務を負います。
また、道路交通法70条では、通路を進行する自動車は、常に安全運転に注意しなければなりません。前方不注視で歩行者に接触した自動車には高い過失が認められるので、過失割合は90%となります。
一方、駐車場は、主に自動車のために作られている設備であり、歩行者としても、自動車が往来することは十分に予想すべきであると言えるので、歩行者にも一定の過失が認められ、その過失割合は10%となります。
ただし、基本の過失割合は、さまざまな要素によって、修正されます。
たとえば、歩行者が駐車区画内から急に飛び出してきた場合には、自動車が事故を避けることが困難になるため、歩行者の過失割合が+10%となります。
また、駐車場内に歩行者用の通路がある場合、歩行者がその通路を歩いていたときには、歩行者の過失割合が-20%となります。
歩行者が児童や高齢者の場合には、歩行者に適切な行動を期待しにくくなることから、歩行者の過失割合が-5%となりますし、歩行者が幼児や障害者の場合には、さらに歩行者に適切な行動を期待しにくくなり、自動車に高い注意義務が課されるため、歩行者の過失割合が-10%となります。
自動車が著しく高スピードで走行していた場合や、右左折するとき、後退するときなどに、周囲を確認しなかった場合など、自動車に著しい過失が認められる場合には、歩行者の過失割合が-10%となりますし、自動車が飲酒運転や無免許運転をしているなど、重過失がある場合には、歩行者の過失割合が-20%となります。
なお、これと類似する事例で、歩行者が駐車区画内にいたところ、自動車が区画内に進入してきて発生する交通事故があります。
この場合、基本の過失割合は、歩行者が10%、自動車が90%となります。