駐車場内の交通事故の過失割合

説明・解説

一般に、通路に出ようとする車には、通路を進行している車の通行を妨害しないという注意義務が課されます（道路交通法25条の2）。そして、駐車区画から退出する車は、もともと停止していたので、通路を進行してきた車よりも事故を避けやすい立場にあり、通路を進んできた車よりも高い注意義務を課されます。そこで、駐車区画から出てきたＹに高い過失が認められ、Yの過失割合は70％となります。一方、Xも駐車区画から出てくる車がないか、前方を確認すべき義務がありますから、それを怠った点において、30％の過失割合が認められます。

修正要素、類似の事故状況における過失割合

ただし、この基本の過失割合は、様々な要素によって修正されることがあります。
たとえば、Yが酒気帯び運転をしていたとか、著しい前方不注視があったなどの場合「著しい過失」があるとして、
Yの過失割合が＋10％となります。Yの過失がもっと大きく、飲酒運転や無免許運転をしていたようなケースでは、Yに「重過失」が認められるので、＋20％となります。これに対し、Xの方にも、著しい前方不注視やスピード違反などの「著しい過失」があれば、Xの過失割合が＋10％となりますし、Xに飲酒運転や無免許運転、著しいスピード違反などの「重過失」があれば、Xの過失割合が＋20％となります。
さらに、これと類似の事例として、駐車場内で、通路から駐車区画に入ろうとしていた四輪車と、通路を進行していた四輪車の衝突事故があります。この場合には、駐車区画に入ろうとしていた車の過失割合が20％、通路を進行していた車の過失割合が80％となります。