高速道路の合流地点の本線を通行していた単車(X)と、そこに合流してきた四輪車(Y)が接触した交通事故です。
このような場合の基本の過失割合は、
Xが20%、Yが80%です。
高速道路上では、本線の車道に入ろうとしている四輪車は、本線を走行している車両の妨害をしてはならないとされています(道路交通法75条の6の1項本文)。そこで、その義務に違反して事故を発生させた四輪車(Y)には大きな過失が認められて、過失割合が80%となります。ただ、本線を走行していた単車(X)の方にも、適宜減速するなどの方法により、Yとの衝突を避ける工夫ができるにもかかわらず、前方不注視の過失によって事故を発生させたと言えるので、20%の過失割合が認められます。
ただし、基本の過失割合は、さまざまな要素によって修正されます。
たとえば、Yが進入路の手前で早めに進入してきた場合には、Xの過失割合が-10%となります。
また、Yにおいて、脇見運転などの著しい前方不注視があった場合、著しくハンドル操作やブレーキ操作が不適切であった場合などには、Xの過失割合が-10%となりますし、Yが酒酔い運転や無免許運転、居眠り運転などをしていた場合には、Xの過失割合が-20%となります。
反対に、Xが時速20~40キロメートルの速度違反をしていた場合には、Xの過失割合が+10%となりますし、時速40キロメートル以上の速度違反をしていた場合には、Xの過失割合が+20%となります。Xが急に加速した場合にも、Yからは事故の発生を防ぐことが難しくなるので、Yの過失割合が+10~20%となります。
また、これと類似する事故として、四輪車が本線を走っており、単車が合流してくるときに接触する交通事故があります。この場合、基本の過失割合は、単車が60%、四輪車が40%となります。
さらに、本線を走行している車両も合流車も四輪車である場合(四輪車同士)、あるいはどちらもバイク同士というケースもあります。その場合の過失割合は、本線を走行していた車両が30%、合流車が70%となります。