歩行者用信号機が設置されている横断歩道上を横断していた自転車(自転車の信号は青)と、青信号で交差点を右折または左折してきた自動車が接触した交通事故です。
この場合の基本の過失割合は、
自転車が10%、自動車が90%です。
交差点を走行する車両は、交差する道路を走行する車両の通行を妨害してはならず、安全な速度と方法で通行しなければなりません(道路交通法36条4項)。
また、前方や周囲に注意を払い、安全に運転すべき義務も負っています(道路交通法70条)。
それにもかかわらず、横断歩道を走行している自転車を見落として交通事故を発生させたので、自動車には90%の過失割合が認められます。
一方、自転車も安全運転義務を負っていることから(道路交通法70条)、不注意によって自動車と接触した点において、10%の過失割合が認められます。
また、自転車が赤信号で横断を開始した場合には、自転車の過失割合が60%、自動車の過失割合が40%となります。
ただし、基本の過失割合は、さまざまな事情によって、修正されることがあります。
たとえば、自転車が片手運転や両手放し運転をしていた場合、酒気帯び運転や酒酔い運転をしていた場合、ブレーキ装置不良で運転をしていた場合などには、自転車に著しい過失や重過失が認められるので、自転車の過失割合が+5~10%となります。
自転車が児童や高齢者の場合には、自転車に適切な行動を期待しにくくなるので、自転車の過失割合が-10%となります。
自転車が歩行者と同程度の低速度で通行していた場合には、自動車の注意義務が上がるので、自転車の過失割合が-10%となります。
自転車が自動車横断帯を走行していた場合には、自転車の過失割合が-5%となります。
自動車が徐行していなかった場合には、自転車が-5%となります。自動車に著しい過失があれば、自転車の過失割合が-5%、自動車に重過失があれば、自転車の過失割合が-10%となります。
交差点ではない場所で、道路を横断しようとしていた自転車と、道路を走行してきた自転車が接触した交通事故です。
この場合の基本の過失割合は、
自転車が30%、自動車が70%です。
道路を走行する車両は、常に周囲に配慮をして、周辺の車両の交通を妨害しないように安全に運転すべき義務を負っています(道路交通法70条)。そして、前方に自転車が横断しようとしているなら、早期に発見して接触を避けるべきところ、それを怠った自動車には過失が認められ、過失割合は70%となります。
一方、車両は、歩行者や他の車両の交通を妨害するおそれがある場合には、道路の横断をしてはいけません(道路交通法25条の2)。それにもかかわらず、自動車が走行していることに配慮せずに道路を横断した自転車にも過失が認められるので、自転車の過失割合は30%となります。
ただし、基本の過失割合は、さまざまな要素によって修正されます。
たとえば、事故が発生したのが夜間であった場合、自転車から自動車を発見するのは容易ですが(ライトが灯火しているため)、自動車から小さな自転車を発見することは困難になるため、自転車の過失割合は+5%となります。
事故現場が幹線道路であった場合には、交通の往来が多いので、自転車の注意義務が高まります。そこで、自転車の過失割合が+10%となります。
自転車が、自動車の直前を横断して事故につながった場合には、自転車の過失割合が+10%となります。
自転車が片手運転や著しい前方不注視などをしていて著しい過失がある場合や、自転車が酒酔い運転をしたり、ブレーキが壊れているのに運転したりして重過失がある場合には、過失の程度に応じて自転車の過失割合が+10~20%となります。
反対に、自転車の運転者が児童や高齢者であった場合、自転車に適切な行動を期待しにくくなるので、自転車の過失割合が-10%となります。
自転車が自動車横断帯を通行していた場合には、自転車は法令を遵守している反面、自動車の注意義務が高まるので、自転車の過失割合は-20~25%となります。
自転車が横断歩道を通行していた場合にも、やはり自動車の注意義務が高まるので、自転車の過失割合が-15~20%となります。
自動車に著しい過失や重過失があった場合には、過失の程度に応じて、自転車の過失割合が-10~20%となります。