信号機のある交差点において、歩行者が青信号で横断歩道を通行していたところ、交差点に向かって、赤信号で進行してきた自転車が接触した交通事故です。
このような場合の基本的な過失割合は、
歩行者が0%、自転車が100%です。
道路交通法上、横断道路を渡っている歩行者は、絶対的な保護を受けます。車両は、横断道路の手前で徐行しなければなりませんし、横断歩道を歩行している歩行者がいたら、停車して優先させなければなりません(道路交通法38条)。また、信号機による指示を守るべきことは、道路交通法の基本です(道路交通法7条)。
そこで、赤信号で直進してきて、なおかつ横断歩道上の歩行者に接触した自転車には高い過失が認められ、過失割合が100%となります。歩行者に過失はありません。
また、自転車と歩行者の信号機の色が変わると、基本の過失割合が変わります。
歩行者の信号機が黄色、自転車の信号機が赤色だった場合、
自転車の過失割合が85%、歩行者の過失割合が15%となります。
歩行者の信号機が赤色、自転車の信号機が赤色だった場合、
自転車の過失割合が75%、歩行者の過失割合が25%となります。
歩行者の信号機が赤色、自転車の信号機が黄色だった場合、
自転車の過失割合が40%、歩行者の過失割合が60%となります。
歩行者の信号機が赤色、自転車の信号機が青色だった場合、
自転車の過失割合が20%、歩行者の過失割合が80%となります。
歩行者の横断途中で信号の色が変わることもあります。
歩行者が青信号で横断を開始して途中で赤に変わり、自転車の信号が赤色の場合、
自転車の過失割合が100%、歩行者の過失割合が0%です。
歩行者が赤信号で横断を開始して途中で青に変わり、自転車の信号が赤色だった場合、
自転車の過失割合が85%、歩行者の過失割合が15%となります。
歩行者が青信号で横断を開始して途中で赤に変わり、自転車の信号が青だった場合、
自転車の過失割合が80%、歩行者の過失割合が20%となります。
歩行者が黄色で横断を開始して途中で赤に変わり、自転車の信号が青だった場合、
自転車の過失割合が65%、歩行者の過失割合が35%となります。
一般的に、基本の過失割合は、様々な要素によって修正されることがあるものですが、歩行者の信号機が青、自転車が赤の場合、過失割合の修正はありません。
ただし、信号機の色がこれと異なる場合には、過失割合の修正があります。
たとえば、道路が幹線道路であった場合や、歩行者が横断歩道で立ち止まったり後退したりした場合には、歩行者の過失割合が上がりますし、事故現場が住宅街・商店街であったり、歩行者が児童や高齢者であったり、歩行者が集団で横断していたりした場合には、歩行者の過失割合が下がります。
信号機のある交差点において、青信号で横断歩道を通行していた歩行者に、交差点を右左折してきた自転車(信号機の色は青)が接触した交通事故です。
このような場合の基本の過失割合は、
歩行者が0%、自転車が100%です。
横断歩道を通行する歩行者は、道路交通法上、絶対的な保護を受けます(道路交通法38条)。車両は、横断歩道の前では徐行しなければならず、歩行者がいれば、必ず一旦停止してその通行を妨害しないようにしなければなりません。
また、交差点を右左折する車両は、交差する道路を通行する歩行者に注意し、安全に運転しなければなりません(道路交通法36条4項)。
そこで、こうした注意義務を怠り、横断歩道を通行していた歩行者に接触した自転車の過失割合が100%となります。歩行者に過失はありません。
ただ、自転車と歩行者の信号機の色が変わると、基本の過失割合が変わります。
歩行者の信号機が黄色、自転車の信号機が青色だった場合、
自転車の過失割合が65%、歩行者の過失割合が35%となります。
歩行者の信号機が赤色、自転車の信号機が青色だった場合、
自転車の過失割合が40%、歩行者の過失割合が60%となります。
歩行者の信号機が黄色、自転車の信号機が黄色だった場合、
自転車の過失割合が75%、歩行者の過失割合が25%となります。
歩行者の信号機が赤色、自転車の信号機が黄色だった場合、
自転車の過失割合が60%、歩行者の過失割合が40%となります。
歩行者も自転車も信号が赤だった場合には、自転車の過失割合が75%、歩行者の過失割合が25%となります。
歩行者の横断途中で信号の色が変わることもあります。
歩行者が青信号で横断を開始して途中で赤に代わり、自転車の信号が赤色の場合、
自転車の過失割合が100%、歩行者の過失割合が0%となります。
歩行者が赤信号で横断を開始して途中で青に変わり、自転車の信号が赤色だった場合、
自転車の過失割合が85%、歩行者の過失割合が15%となります。
ただし、基本の過失割合は、様々な要素によって修正されることがあります。
たとえば、歩行者が横断歩道上で立ち止まったり後退したりすると危険性が高まるので、歩行者の過失割合が+5~10%となります。
歩行者が幼児や児童、高齢者や障害者の場合には、歩行者の過失割合が-5%となります。
自転車に灯火義務違反や並走運転、片手運転などの著しい過失があれば、歩行者の過失割合が-5%となります。
自転車に酒酔い運転などの重過失があれば、歩行者の過失割合が-10%となります。