信号のない同幅員の交差点で起きた左方向からの左折車(X)と右方向からの直進車(Y)との交通事故です。
このような場合の基本的な過失割合は、
Xが50%、Yが50%です。
ここでの過失割合は、見通しのきかない交差点で起きていることを前提としています。
見通しがきかない交差点では、左折車(道路交通法34条 1項参照)だけでなく、優先道路を通行している場合を除いて、直進車にも徐行義務があります(同法42条1号)。
見通しがきかない同幅員の交差点においては、原則として、左方優先です(同法36条1項1号)。しかし、左方からの左折の場合、直進するよりも他車の進路を妨害する度合いが大きく、また、左折車(X)が左折を終えて加速し、直進車Yと等速度にまるまでには時間がかかることや、実際の運転観光として、左折車(X)は直進車(Y)に道を譲るのが通常であることに照らし、左方優先を制限的に考えるのが妥当とされます。
そのため、Xに50%の過失、直進車(Y)にも徐行義務違反として50%の過失が認められます。
ただし、基本の過失割合は、様々な要素によって修正されることがあります。
たとえば、左折車(X)が交差点に進入する際に徐行していなかったことが認められた場合は、Xの過失は+10%となります。
また、仮に、このような事故が見通しのきく交差点で起きた場合、Xの過失は-10%となります。
信号のない同幅員の交差点で起きた左折四輪車(X)と対向右折四輪車(Y)の交通事故です。
このような場合の基本的な過失割合は、
X30%、Y70%です。
交差点において左折車と対向右折車の進路が交錯するのは,通常,左折車(X)が減速して左折を始めたところ、右折車(Y)が左折車の進行を妨害する態様で交差点に進入してくる場合です。
右折車(Y)は,交差点を右折する際、当該交差点において左折車(X)等の進行を妨害してはならないとされています(道路交通法37条)。つまり、交差点において、右折車(Y)は左折車(X)より劣後する関係にあります。
これに加えて、右折車(X)と直進車の事故の過失割合が80%と20%であることを前提に、左折車は直進車両よりも速度が遅いのが通常で、直進車に比べて左折車(X)には避譲の余地が大きいと考えられることから、Xには30%の過失が認められます。
ただし、基本の過失割合は、様々な要素によって修正されることがあります。
たとえば、Xが左折方法違反として、出来るだけ道路の左端に寄り、かつ出来る限り道路の左端に沿って徐行しなければならない(法34条1項)、また、交差点を左折する際に道路左側の第1車線にはいらないといけない義務を守らなかった場合は、Xの過失は、+10~20%となります。
また、右折車(Y)が既に右折を完了しているところに左折車(X)が交差点へ進入して事故が起きた場合の基本的な過失割合はXが40%、Yが70%となります。
信号のない同幅員のT字路交差点で、直進路を直進する車両(X)と突き当り路を右左折する車両(Y)の交通事故です。
このような場合の基本的な過失割合は、
Xが30%、Yが70%です。
T字路交差点の直進路を直進する車両(X)は、突き当たり路から同交差点に進入してくる車両(Y)等が徐行することを期待するのが一般の運転慣行と考えられます。
また、突き当たり路から丁字路交差点に入ろうとする右左折車は、十字路交差点では反対方向から進行して右左折する車両等にも注意しなければなりませんが、T字路交差点では、交差する直進路を通行する車両等に注意するだけで足ります。
そこで、Yには70%の過失が認められます。
ただし、基本の過失割合は、様々な要素によって修正されることがあります。
たとえば、Yが明らかにXよりも先に交差点へ進入していたり、右左折を完了しているところに後から来たXが接触や衝突等の事故が起きた場合、Xの過失は、+10%となります。
また、Xに脇見運転による著しい前方不注意視等の著しい過失があった場合、Xの過失は、+10%となります。さらに、Xによる重過失過失がある場合、Xが50%、Yが50%となります。