道路外から自動車が道路に進入しようとしていたところ、道路を走行していた自転車と接触した交通事故です。
この場合、基本の過失割合は、
自転車が10%、自動車が90%となります。
道路から道路外に出るときには、車両は歩行者や車両の妨害をしてはならないとされています(道路交通法25条の2)。これと同様に、道路外から道路に進入するときにも、進入車は、道路上を走行している車両の妨害をしないよう、安全運転に務めなければなりません。そこで、こうした義務に違反して自転車に接触した自動車には90%の過失割合が認められます。一方、道路内を走行していた自転車も、前方や周囲に注意をして、安全に運転すべき義務があるので、前方不注視などによって交通事故を起こした点で、10%の過失割合が認められます。
ただし、基本の過失割合は、さまざまな要素によって修正される可能性があります。
まず、自転車が左側通行の原則に違反して、右側を走行していたときには、自転車の過失割合が+5%となります。
自動車が道路に頭を出して待機していた場合には、自転車の過失割合が+10%となります。
自動車が既に道路に進入していたときには、自転車の過失割合が+10%となります。
自転車が、自転車の走行が禁じられている歩道を走行していた場合には、自転車の過失割合が+5%となります。
自転車の運転者が児童や高齢者であった場合には、自転車の過失割合は-10%となります。
自動車が飛び出してきた場合や、徐行なしに道路に出てきた場合には、自転車の過失割合が-10%となります。
事故現場が幹線道路であった場合には、自転車の過失割合が-5%となります。
なお、これと類似する事案で、自転車が道路外から進入しようとしており、自動車が道路上を走行しているパターンがあります(自転車と自動車が反対のパターン)。この場合には、自転車の過失割合が40%、自動車の過失割合が60%となります。
自転車と自動車が同一方向へ進行しており、前方を走行していた自動車が左に進路変更しようとしたところ、後ろから走行してきた自転車に接触した交通事故です。
この場合の基本の過失割合は、
自転車が10%、自動車が90%です。
道路を通行している車両は、みだりに進路変更をしてはいけません。また、進路変更したときに、同じ道路を後ろから進行してくる車両の進行を妨害するおそれがある場合には、進路変更してはならないとされています(道路交通法26条の2)。それにもかかわらず、後方から走行してくる自転車に配慮せずに進路変更をした自動車には高い過失が認められるので、自動車の過失割合は90%となります。
一方、自転車も、前方に注意して、前方車両と接触しないように安全に運転すべき義務を負っているので(道路交通法70条)、これに違反した自転車に10%の過失割合が認められます。
道路を通行している車両は、みだりに進路変更をしてはいけません。また、進路変更したときに、同じ道路を後ろから進行してくる車両の進行を妨害するおそれがある場合には、進路変更してはならないとされています(道路交通法26条の2)。それにもかかわらず、後方から走行してくる自転車に配慮せずに進路変更をした自動車には高い過失が認められるので、自動車の過失割合は90%となります。
一方、自転車も、前方に注意して、前方車両と接触しないように安全に運転すべき義務を負っているので(道路交通法70条)、これに違反した自転車に10%の過失割合が認められます。
自動車が道路の右側を走行していたところ、その車線を対向側から走行してきた自動車と接触した交通事故です。
この場合の基本の過失割合は、
自転車が20%、自動車が80%です。
車両が道路を走行するときには、原則として左側を通行しなければならない義務を負っています。特に、軽車両である自転車は、道路の左端を通行すべきとされています(道路交通法18条)。
ただ、実際には自動車が右側を走行することは珍しいことではなく、自動車側からもこれを予測することができます。
また、自動車は、道路を走行するときに、周囲の状況に応じて他人に危害を及ぼさないよう、安全運転に務めなければなりません(道路交通法70条)。
そこで、こういった義務に違反して自動車を見落とし、交通事故を発生させた自動車には80%の過失割合が認められます。
一方、自転車にも左側通行違反(道路交通法18条)があるので、20%の過失割合が認められます。
ただ、基本の過失割合は、さまざまな要素により、修正される可能性があります。
たとえば、自転車が予想外のふらふら運転をしていた場合には、自動車が事故を避けることが困難になるので、自転車の過失割合が+10%となります。
自転車が並走していたり、片手運転をしていたり、酒気帯び運転をしていたりして、著しい過失が認められる場合には、自転車の過失割合が+10%となります。
また、自転車が酒酔い運転をしていたり、薬物の影響で正常な運転ができない状態であったりして、重過失が認められる場合には、自転車の過失割合が+20%となります。
反対に、自転車の運転者が児童や高齢者の場合には、自転車に適切な行動を期待することが難しくなるので、自転車の過失割合は-10%となります。
自動車が、自転車を発見した後、すぐにブレーキを踏んだら事故を避けることができたはずなのに、あえてそれをしなかった場合や、著しい前方不注視で自転車に気づかなかった場合には、自転車の過失割合が-15%となります。
自動車が、ほとんど周囲を見ておらず、著しい前方不注視によって事故を引き起こしたと認められる場合には、自転車の過失割合が-30%となります。
これ以外の自動車の著しい過失や重過失があった場合には、自転車の過失割合が-10~20%となります。
なお、この類型の交通事故の場合、夜間である場合や幹線道路上である場合の修正は行いません。