説明・解説
このケースは、事故現場が交差点であるパターンとそうでないパターンがありますが、どちらのケースでも同じ過失割合となります。
信号を守ることは、車両においても歩行者においても、道路交通上のもっとも基本的な義務です(道路交通法7条)。そこで、信号を無視して、赤信号で横断しようとしていた自転車には、90%の過失割合が認められます。
ただ、歩行者は、道路を横断するときに近くに横断歩道があったら横断歩道を通行しなければならない義務を負っているので(道路交通法12条1項)、横断道路を歩いていなかった場合には、青信号でわたっていても、10%の過失割合が認められます。
また、基本の過失割合は、歩行者の信号機の色によって異なります。歩行者の信号が黄なら歩行者の過失割合が上がり、25%となりますし(自転車の過失割合が75%)、赤ならさらに歩行者の過失割合が高くなって35%(自転車の過失割合が65%)となります。
また、自転車の信号が黄で歩行者の信号が赤だった場合には、基本の過失割合は、歩行者が60%、自転車の過失割合が40%となります。
自転車の信号が青で歩行者の信号が赤だった場合には、基本の過失割合は、歩行者が80%、自転車が20%となります。
修正要素、類似の事故状況における過失割合
ただし、基本の過失割合は、さまざまな要素によって修正されます。
事故現場が幹線道路であった場合には、歩行者に課される注意義務が上がるので、歩行者の過失割合が+10%となります。
歩行者が横断中に立ち止まったり急に後ろに下がったりすると危険なので、歩行者の過失割合が+10%となります。
事故現場が住宅街や商店街であった場合、歩行者が優先されるので、歩行者の過失割合が-5%となります。
歩行者が児童や高齢者であった場合、自転車の注意義務が高まるので、歩行者の過失割合が-5%となりますし、歩行者が幼児や障害者であった場合には、自転車の注意義務がさらに高まるので、歩行者の過失割合が-10%となります。
自転車に著しい過失があれば、歩行者の過失割合が-10%となりますし、自転車に重過失があれば、歩行者の過失割合が-20%となります。