自転車も歩行者も自転車横断帯を通行しているときに発生した交通事故
事故状況
自転車横断帯を走行していた自転車と、同じく自転車横断帯を通行していた歩行者が接触した交通事故です。
基本の過失割合
このような場合の基本の過失割合は、
歩行者が5%、自転車が95%です。
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自転車横断帯を走行していた自転車と、同じく自転車横断帯を通行していた歩行者が接触した交通事故です。
このような場合の基本の過失割合は、
歩行者が5%、自転車が95%です。
自転車は、横断歩道の近くを通るときには、横断歩道の直前でいつでも止まれるように徐行しなければならず、横断歩道上に歩行者がいるときには、一旦停止して、歩行者の通行を妨害しないように慎重に走行しなければなりません(道路交通法38条1項)。
この場合、横断歩道上ではなく、隣接する自転車横断帯で事故が起こっていますが、横断歩道に隣接する場所である以上、自転車に高い注意義務が課されることは、間違いありません。そこで、こうした義務を怠って歩行者に接触した自転車には95%の過失割合が認められます。歩行者には過失が認められません。
他方、自転車横断帯は自転車が走行するために設けられた通行帯であり、歩行者は横断歩道とは違って絶対的な保護を受けるものでもないので、歩行者にも5%の過失割合が認められます。
なお、自転車横断帯上の交通事故では、自転車が歩行者と同一方向に進行していても、歩行者と対向方向から接触したとしても、自転車と歩行者の過失割合は変わりません。
ただし、基本の過失割合は、さまざまな事情によって修正されます。
たとえば、歩行者が急に飛び出してきた場合には、自転車が事故を避けにくくなるので、
歩行者の過失割合が+5%となります。
事故現場が住宅街や商店街であった場合、歩行者の往来も多く、自転車に課される注意義務が上がるので、
歩行者の過失割合が-5%となります。
歩行者が児童や高齢者であった場合には、適切に事故を避ける行動をとることが困難になるので、
歩行者の過失割合が-5%となります。
歩行者が幼児や障害者であった場合、歩行者が事故を避けることがさらに困難になるため、
歩行者の過失割合が-10%となります。
自転車が片手運転やスマホを見ながらのながら運転をしていたなど、著しい過失があった場合には、
歩行者の過失割合が-5%となります。
自転車が酒酔い運転をしていたなど重過失があった場合には、
歩行者の過失割合が-10%となります。
自転車が先を歩いている歩行者に追突した場合や、容易に事故を避けることができたのに、避けなかった場合にも、自転車に著しい過失や重過失が認められます。