説明・解説
この場合、自動車が赤信号で道路を走行しようとしているので、自動車に大きな過失が認められます(道路交通法7条)。また、横断歩道の近くを走行しているので、いつでも停車できるよう、慎重に運転をしなければなりません(道路交通法38条1項)が、それに対する違反もあります。
しかし、歩行者にも過失があると言えます。
歩行者は、横断歩道がある場所で道路を横断するときには、横断歩道を歩いてわたる義務を負うからです(道路交通法12条1項)。
具体的な過失割合は、歩行者の信号の色によって異なります。
歩行者が青で、信号を守っていたなら、自動車の過失割合は90%(歩行者の過失割合が10%)、
歩行者の信号が黄だった場合には、自動車の過失割合が80%(歩行者の過失割合が20%)、
歩行者の信号が赤だった場合には、自動車の過失割合が70%(歩行者の過失割合が30%)となります。
修正要素、類似の事故状況における過失割合
ただし、基本の過失割合は、さまざまな要素によって修正されます。
たとえば、事故が夜間に発生した場合には、自動車はライトをつけていますから、歩行者が自動車を発見することは簡単ですが、その反対は難しくなります。そこで、歩行者の過失割合が+5%となります。
事故が幹線道路で発生した場合、交通量が多く、歩行者が横断歩道外を渡ると危険性が高まるので、歩行者が+10%となります。
歩行者が自動車の直前や直後を横断したり、途中で立ち止まったり、後ろに下がったりすると、歩行者の過失割合が+10%となります。
事故現場が住宅地、商店街のケースでは、自動車の注意義務が高くなるので、歩行者の過失割合が-5%、歩行者が児童や高齢者の場合には、歩行者の過失割合が-5%、歩行者が幼児や障害者の場合には、歩行者の過失割合が-10%となります。
事故現場が、歩道と車道の区別のない狭い道路だった場合、歩行者の過失割合が-5%となります。